第6章 層
振り返ると生徒がいっぱいいて、驚いたけど、
他校の生徒が昼休みに来るなんてあんまないよな、ってぼんやりと思う。
研磨くんもこの中にいるのかな。教室かな。
きょろきょろしながら歩いていると、
「穂波ちゃ〜ん!研磨探してる?」
クロさんの声がしたので、そちらに向かう
研磨くんもいたので
手を引いて周平のとこへ歩く。
「……ねぇ、穂波」
『ん?研磨くん』
「………おれ、ちょっとだけ怒ってる」
『…あ、え、ごめん。…ぇーっと』
「ハグはいいよ。そういう環境で育ったの知ってる。
でも、それ以上に穂波に触ろうとするのはいやだ」
『…ん。ごめんね』
「穂波に怒ってるんじゃないから」
いつも嫌だったかな、て思っても平気って答えばかりだったけど
今日ははっきり、いや、って言った。
いやなときはいやって言う人だろうなって思ってたけど
いざ言われると、嬉しい。ちゃんと言ってくれることって、嬉しい。
必要のない嘘がないのは、これから一緒にいるなかで大事なことだってわたしは思う。
『…ん。でも、わたしにも気をつけれることはあるから。気をつけるね。
いやなこと、いやって教えてくれてありがとう』
「…ん」
・
・
・
『周平、わたしの大事な研磨くん。
研磨くん、わたしの幼馴染み?かな。大事な友達の周平です』
周平「研磨くん…研磨でいい?周平です。よろしくー」
周平が手を差し出す
研磨「…ん」
研磨くんも手を出して、周平がグッと握る。
『周平は一個上で、えーっともう17?で、一昨日までカナダにいってたのね。
3年間一度も帰ってこなくて、今日、これが3年ぶりの再会。唐突。
研磨くんは、何から話せばいいかわかんない、わたしの大好きな人。ふふ。』
周平「ほんと、穂波って分かり易い。から、残念ながら分かるわぁ〜 べた惚れ。
研磨、おとなしそうなのに色っぽいな!エグっ』
研磨「………」
周平「ごめんごめん、もうお尻触ろうとしないからっ笑
……あれっ違う?いや、俺怒られてるよね?」
研磨「………」
周平は大体いつもこの調子だけど、
人のことよく見てて、的を得た洞察をする。
研磨くんと表立った印象は違うけど
洞察力に関してはだいぶ似てるかも…