第6章 層
ー研磨sideー
9月も半ば過ぎて、もうすぐ体育祭。
…出なきゃいけない種目にしか出ないし、
出てなんてもちろん言われないし、
体育祭はなるべく日陰で過ごしたい…
昼休み、穂波と教室で弁当を食べる。
新学期になって席替えをして、
おれは窓際の一番後ろの席に、穂波はおれの斜め前の席になった。
前の席の子は大体お弁当の時いなくて、使ってね〜って穂波に声をかけていく。
『部活動対抗リレー?もあるんだね。誰が出るの?』
「…3年2人と、夜久くんと虎」
『…へぇ!走るのかな。なんかパフォーマンスするのかな?』
「フライング、痛いし、別におもしろくないから、普通に走るって」
『…ふふ。一緒に観ようね♪』
「…ん」
「…あの〜運天さん………」
隣のクラスの男子が話しかけてくる
『?……はい。なぁに?』
研磨「………」
男子「玄関のとこに、スケボーもった△○高校の生徒が来てて………」
『………ほぅ』
男子「運天さんのこと呼んで来てって………」
『?………なんだろ。分かった、林くん、だよね?ありがとう』
男子「////……あ、いや……でも、知り合い?行って大丈夫?」
穂波に名前を呼ばれて、
首を傾げながら目を見られて、
それから笑顔を向けられて、あからさまに照れてる。
かわいいよね。すごいわかる。
『…んー、わかんないけど、玄関なら人もいるし大丈夫じゃないかな。
研磨くん、ちょっと行ってくるね』
そう言って立ち上がり駆け出す。
林「………いいの?行かなくって…」
研磨「…あ、うん。………でも、行っとこうかな」
席を立って歩いて向かう。
他校の、しかも名門校の生徒が昼休みに乗り込んでくるなんて、
あんまりないことだから、廊下や窓際、玄関周りで生徒たちががやがやしてる。
「おい、あいつ誰だよ」
虎に聞かれる
「…知らないけど、てか、まだ見てない」
虎「あいつ、喧嘩強そうだな」
研磨「…喧嘩とかしないから」
虎「…なんだよ、おれの彼女に〜!とか。…しねぇか」