第6章 層
ー穂波sideー
「ねぇ、穂波。金曜の話聞いたよっ」
久しぶりにサーフィンしてきた月曜の朝、校門近くで芽衣に会った。
『おはよう、芽衣。…金曜日の話?』
「おはよ〜。…サッカー部の△さんの」
『…あぁ』
「高校入って何人か穂波にフラれた人見たり聞いたりしたけど
あそこまで落ちてる人初めて見た」
『………』
「…いつもはなんか、フラれても明るいんだよねぇ。
穂波の魔法なんだな〜って思ってたケド。何かあった?』
『…なかなか伝わらなくて。
…研磨くんのこと、あんなやつとか言って侮辱するから…』
「…」
『わたしは研磨くんのものです。って言っただけ。
もっともっと研磨くんの大好きなとこ言いたくなったけど、我慢した。笑』
「…へぇ。…男ってよくわかんないね。それが応えたってことか…
…孤爪くんのもの………負けたって感じがするのかな」
『…うーん、わかんないけど。傷ついたかな?』
「いや、告白するなら覚悟してた種類の傷でしょ。穂波は気にしなくていいよ」
『…ん』
「孤爪くんには話したの?」
『うん、言わない理由もないから』
「…相変わらず?」
『うん、安心する。相変わらず。…でもそのこと話す前、珍しくいっぱい話聞かれたなァ』
「男の話?」
『…ううん、スケボーの話』
「ふーん。普通に会話だ」
『普通に会話以外なにがあるの。笑』
「笑 普通に会話をバレー部と穂波にしかしないから、
ましてや女子は穂波だけだからさ、孤爪くん。
それだけのようで、それ以上のことに傍目には感じちゃうの。笑
見てると平和で安心感のあるカップルだけど、探るとツッコミどころっていうか、
気になること、質問溢れてきちゃって、確かに。
△さんが食いさがった気持ちがわかる気がする。笑」
『…あ、そう?ならよかった』
「…なにが?」
『…そう言ってくれる人がいたら△さんも気がラクかなって。
研磨くんを侮辱するのはいやだけど』
「……そうね。まぁ、傷ついた△さんに付け入ろうとしている女子が山ほどいるよきっと。
心配しないしない」
『心配はしてないけど、やっぱり気には留めるよぅ。いい人に出会えますように』
「…穂波らしいね」