第6章 層
「なに研磨、難しい顔して」
帰りの電車でクロに聞かれる。
研磨「…別に。そんな顔してない」
クロ「いやしてたヨ…部室出てからずっと」
研磨「………してない。」
クロ「…………サッカー部のやつのこと?」
研磨「…………なんか聞いた?」
クロ「…んー、普通にはっきり振られたって」
研磨「………そか」
クロ「でも結構引き下がったみたいよ?…ま、結局ね。研磨いるし」
研磨「…たぶん穂波は、おれがいなくても受けてないよ。好きじゃなかったら」
クロ「おぉ」
研磨「………クロは言い寄られたら、吸い寄せられちゃいそうだもんね」
クロ「…コラ。俺にも見境はあります。
そのサッカー部のやつ、何度か押せ押せで押して最終的にズコンと落ちたらしいわ〜
副キャプテンで顔良しの人気者なだけにだいぶ。笑」
研磨「……ふふ」
クロ「研磨いまほくそ笑んだだろ」
研磨「だってちょっと面白いじゃん」
クロ「今もずっと、わたしは研磨くんのものです。ってトドメ刺されたらしいよ」
研磨「!」
クロ「パンチあるよな〜。研磨の彼女、って言わないあたりがなんかすっげぇ有効的。
何も考えずに言ってそうだけど」
研磨「………うん」
クロ「依存体質な感じじゃないからさ、すげーいいと思う。
依存されててそれ言われたらちょっとキツイけど、
自分の足でちゃんと立ってる感じの子がそれ言うとヤバイなって俺は思いました。
いいな〜研磨クン」
研磨「………ヤバい」
おれのじゃないけどおれの
こっちにもパンチきた
なんか何?頭じゃなくって、何かがすごい喜んじゃってる。
支配欲?独占欲?
こんなことにこんなに喜んじゃうんだな、おれ。
やばいなこれ。
穂波はおれのもの。