第39章 scenes
ー赤葦sideー
ここは穂波ちゃん家なんだけど
穂波ちゃんが見当たらない
「あの、黒尾さん」
「はーい 赤葦くん」
「…穂波ちゃんと孤爪はどこか行ったんですか?」
「あーそれねー それはねぇ… いやそれにしても優秀だよな俺ら」
「はい?」
「男子校生がこれだけそろって、女子高生も数名いて…
こんなちゃんとさ、ひっちゃかめっちゃかにならずに楽しめてて」
「…ひっちゃかめっちゃかになってないんですかね、これは」
「なってねーだろ、グラスは割れてないし、トイレも洗面所も綺麗に使ってるし、
洗い物も溜まってねーし …ってこれはマネ達のおかげだな…
いやでも上出来な方だと思うわ。 あ、赤葦、周平のスノボ動画みねー?」
「あ、はい。 見てみたいです。 ニュースで少しだけみただけなんで。
まさかここで会うなんて思ってなかったです」
オリンピック代表候補、世界大会4位、
そして国内一の難関高で成績トップ。
「…って周平どこだ?」
「ちょっ 鉄朗!」
「あ、噂をすれば」
「穂波と研磨、おせーなー」
「そう? 遅いってほどでも」
「乱入してやろうかな、クリーム持って」
「クリーム?」
「みんなとシュークリームが食べたいっつって用意してた」
「お、噂をすればとろとろ穂波ちゃん」
「まじだー とろっとろの顔してる。研磨も一緒だー」
とろっとろの顔?
でも確かにとろとろしてるような、目とか、表情とか…
「おーい穂波ー!研磨ー!」
周平さんが声をかけるとこっちに来る。
「どこいってたの〜?ナニしてたの〜?シャワーはいいの〜?」
『周平、シュークリーム手伝って〜』
「オーケー カズマも呼ぶ? アキくんの部屋いくって言ってたけど」
『あ、そっか。わたし呼んでくる』
「おー、その前に赤葦くんとも喋ったら?」
周平さんが突然俺の名前を言うので少々驚いてしまった。
『京治くん、シュークリーム食べる? あ、手伝ってくれるかな?』
「…え? あ、うん」
『…ふふ。じゃあカズくんのこと一緒に呼びにいこっ』
なんだろう、この表情。
すごい頭の中が真っ白になる感じがする。
みてるだけで身体が熱っぽくなって、思考が停止するような…