第6章 層
ー穂波sideー
夏休みが終わってから、
お弁当はだいたい研磨くんと食べてる。
大体教室で食べて、
あとは中庭とか屋上にもたまーに行く。
今日は中庭のベンチで。
「…穂波、スケボーどうだった?」
『前に練習してたのは、多分もう体得したヨ。カズくんのスパルタ指導』
「…カズくんスパルタなんだ」
『わたしはそう思っている…笑。いきなり五段を飛ばすのは、だいぶ強気だと思う』
「………でも結構高さも出てたし、いけると思ったんじゃない」
『………そっか、そうだね。できるようになったし 笑』
「怖くはないの?」
『………(研磨くんが話、いっぱい聞いてくるの、めずらしい…)
怖いのは怖いよ〜 でも五段のステアくらいは大丈夫だった。
レールって、手摺りみたいの。あれはきっと怖い。高いパイプも怖い。
……でも、気持ちいいんだろうな〜って思う』
「…気持ちいい」
『ドキドキするのは気持ちいい』
「………」
『スケボーする人はたくさん周りにいたんだけど、お兄ちゃんもお父さんもだし。
わたし、ほんと乗ることくらいしかしてなくって。
6歳から始めたカズくんがどんどん上手くなるの見てたら、やってみたい!ってなって。
去年くらいから教えてくれるようになって。なんだろね、そういうのあるよね。タイミング?
バレーでも、あるかな。気持ちいいとか。研磨くんはどんなだろう。
………また練習とか試合とか、みたいな』
「ん。」
『カズくん、スポンサーつくかもって言ってた。スケボーショップの』
「…え、そんなにすごいんだ」
『大会もそんなでてないのにすごいよね。
スケボってさ、練習量が多いと、その分靴もすぐ潰れるし、本体も然りなの。
スポンサーがついてくれたら、その辺はクリアしやすいよねェ。
受けるか迷ってるって言ってた。サーフィンも同じくらい上手だし、でも好きなことは他にあって。
…研磨くんに会いたがってたよ』
「…………」
『………ねぇ、研磨くん』
「…ん?」
『…研磨くんの汗の匂い、好き』
「…は?」
『昨日ギュッてした時、研磨くんの汗の匂いに酔っちゃった』
「………何言ってるの」
『………わたしは変態かもしれない 笑』
「………」