第6章 層
「研磨はさ、独占欲とかないわけ?」
帰りの電車でクロに聞かれた。
「………んー。普通にあるんじゃない」
クロ「他の男と2人で遊んだりは平気なんだ?」
研磨「………場合によるんじゃん?カズくんのは教わるんだし。男って言っても今はまだ9歳だし。
それに穂波、懐っこいけど、誰にでもおれにするみたいにしてるわけじゃないし…」
クロ「ま、確かに。カズくんのことは聞いたんだ?」
研磨「…夜久くんが、さっき言ってた」
クロ「…まぁ、さすがに9歳にはまだ妬いたりしねぇわな」
研磨「うん、普通に考えてそうでしょ。…なに、それが聞きたかったの?」
クロ「………ま、そんなとこかね」
研磨「…おれの、って思ったりする。おれのじゃないのに変なの、って思う」
クロ「………へぇ」
研磨「……なに、なんか気持ち悪いんだけど」
クロ「いや、聞いたはいいけど、詳しく聞くのも気持ち悪いわと思って」
研磨「……まぁ、確かに」
独占欲、か。
キスマークつけたり、
こっちにいて欲しいって思ったり、
十分あると思う。
でも別に、誰かと喋ってるからって穂波のこと疑うわけじゃないし、
だから、何するかとか、誰といるかとか、
そんなことに口を出そうとか思わない。
………今のところ。
クロ「穂波ちゃんは妬きもちとかやくのかねぇ」
研磨「…どうだろね。…おれに話しかけてくる子なんていないし。わかんないままかも」
クロ「………ふーん」
研磨「なに、ほんとなんなの?バレーの話しないの?」
クロ「…なんか、お前ら見てたら、周り関係なく平和そうにしてるからさ。
なんとなくな、気になっただけぇ」
研磨「…………」
クロ「じゃ、バレーの話でもしようかぁ?」
クロは本当にバレーの話をし始めて…
ちょっと黙って欲しかったけど、
いつも通りゲームをしながら聞いておいた。