第38章 シロワニ
だんっと
ぎりぎり駆け込み乗車じゃないかな…
電車に乗り込むと
半笑いで手を振るクロさんがいた。
『クロさん!おはよう!』
「おはよー穂波ちゃん。 今日俺ら登校日」
『そっかぁ あれ、じゃあわたしこれまだ遅刻じゃない?』
「…さぁ? ぎりぎり遅刻かも。 俺も、どうかなーって思ってた感じ」
『そっか…』
「このまま抜けてデートでもしちゃう?」
『あああ…』
「…笑」
『それはすっごく魅力的な誘い』
「…お、意外と好感触?」
『でも、今日は会いたい人がいるの。
会って言いたいことがあるし、見せたいものがあるし、
それからお弁当も渡さないと』
「…それって、今日はなの?笑」
『ん?』
「いやそれが研磨なら、今日も、だろってそれだけなんだけど」
『あぁ…うん、今日もだけど今日はなの』
「…へぇ なるほどねェ」
『だから学校までデートしよっか』
「おーいいねー ってノリたいとこなんだけど俺、駅降りてから寄るとこあんだわ」
『あ、そっかぁ。 …ってそれ、クロさんは普通に遅刻ってことじゃん!』
「…まぁ、そういうこと。
おかげさんで俺は朝練組だったので今まで遅刻はね、ないからね」
『そうだね… わたしは……』
「言わなくてもわかってるから大丈夫 笑」
毎週クロさんの家で会ってるとはいえ、
制服を着て電車に乗ってるクロさんに会えるのは久しぶりで、
なんだかとても嬉しい。
言わないけどね、言わないけど今日わたし誕生日なの。
だから、会えて嬉しい!
こうして会えたこと。それだけで、特別なプレゼント。
Yesterday is history.
Tomorrow is a mystery.
Today is a gift.
That’s why it is called the present.
昨日は歴史となって、
明日は知らないことに満ちていて、
今日という日は贈り物。
だから今、この瞬間はプレゼント。
英語でpresentには2つの意味があって
一つはプレゼント。 もう一つは今、現在のこと。
受け取る気持ちと準備さえ整えることができれば
毎日はキラキラした贈り物に溢れてる。
それに加えて今日は誕生日だから。
きらきらがマシマシだ。