第6章 層
研磨「…うん、そう言ってたね」
海「穂波ちゃんスケボーもするのか…まぁサーフィンしてる人は多いのかな」
夜久「多いらしいね〜 でも、サーフィンは小さい頃からやってたけど、
スケボーは一年くらい前に始めたって言ってた」
海「へぇ、その、カズくんは先生みたいな?」
夜久「研磨の恋敵…になり得る男。」
海「お?」
研磨「………」
夜久「且つ研磨に弟ができたのかって錯覚するくらい研磨に懐いてる男」
海「あ、年下なんだな」
研磨「………」
夜久「9歳の小学3年生!」
海「おぉ」
夜久「研磨みたいなコミュ力なんだけど、すげー研磨に懐いてんの」
海「でも恋敵でもある、と」
夜久「俺9歳だよ?穂波15歳だよ。6歳差なんて今はだめでもそのうちあるでしょ?…みたいなことを言ってた」
研磨「………なにそれ聞いてない」
夜久「研磨は穂波ちゃんと抜け駆けしてたからねぇ」
海「…たしかに、歳を経るにつれて縮まるような歳の差ではあるけど…
まぁ、研磨は大丈夫だろう」
なんだろ、海くん。
落ち着いた声と穏やかな笑顔で言ってくれるけど、説得力は特にないや。
夜久「そうなんだよ、今は付け入る隙ないって感じなんだけど」
研磨「………」
夜久「カズくん、スケボーめっちゃ上手いの。これは長期スパンでの戦いになるぞ〜!」
研磨「………ちょっとやめてよ。勝手に盛り上がらないで」
夜久「これから体育祭とか文化祭もあるし、なんか盛り上がるじゃんいろいろ。
穂波ちゃんは研磨以外になびかなそうだけどさー、でも、寄ってくるやつも多そうだから、さー
俺が気になっちゃうよね。ま、研磨は余裕そうだけど」
海「その余裕が心配になる、と」
夜久「クロとかの彼女には手、出したくないって思いそうだけど
研磨がナメられないか心配」
…………。
あんま気にしたことなかったけど、
でもたしかに、穂波の内側じゃなくって、
近くにいる男の方にもやもやみたいなの感じてた。
そっか、そういうことなのか。
…………。
でもだからって、何が出来るわけでもない気がする…