第38章 シロワニ
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『わぁ、研磨くんやっぱり器用だね。 きれい』
2人で並んで餃子を包んでる。
綺麗かどうかはわかんないけど、結構楽しい。
包む作業自体もだし、
ボウルの中のタネの量と皮の枚数を合わせていくのが。
自分ひとりでだと割合計算通りに進むだろうけど、
穂波もタネを取ってくわけだから毎回毎回微調整する感じ。
これがリエーフとかだと疲れるだろうけど、穂波だからかな、楽しい。
『一度ね、皮も作ったんだ』
「へぇ、どうだった?」
『美味しかったよ。水餃子と焼き餃子にした』
「でも一度だ 大変?」
『ううん、そんなことないんだけど、
なんて言うか、心置きなく作って食べたくって』
「…笑 なるほど」
味噌とかドレッシングとか漬物とか…
いろいろ手作りしてるけど、餃子となるとそこが突然壁になるんだな。
相当餃子すきだよな、これ。
『…でも今、研磨くんと作ってたらまたやりたいなって思った』
「うん、いいよ。おれも一緒にする」
『わーい、じゃあまた一緒に作ろうね。皮からも、皮からじゃないのも』
「うん。 …おれ終わった」
おれのとこにあった皮はもう全部包み終えた。
最後具の量調整するの楽しそうなのにちょっと残念。
『わー研磨くん綺麗でそして速いなぁ…
そしたら研磨くん焼く? それとも包むのまだする?』
「あ、うん。じゃあ包む。 穂波焼いてていいよ」
『お。じゃあ焼き始めますか』
穂波は顔を綻ばせて、嬉しそうに手を洗いにいく。
それから餃子が並んだバットを持ってキッチンに入ってく。
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全部包み終えて、具も皮も残らなくってちょっとした達成感。
カウンターの向かいで肘をついて、
穂波がいろいろ仕上げてるのを眺める。
あ、机拭かないと。
ずっと見てたいけど、机拭いて皿並べて…とか
できることしてたら餃子が焼けた。
諸々がテーブルに並ぶ。