第38章 シロワニ
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白菜、ニラ、椎茸、生姜、豚肉。
それから調味料いろいろ。
肉の量より白菜の量が圧倒的に多い、気がする。
普通のこの、具の見た目を知らないからなんとも言えないけど。
それが穂波が大食いになれるわけなのかな、とか。
白菜に塩をして水気を切ったり、ひき肉を捏ねたり。
切った野菜と混ぜたり。
おれがやりたいって言って、餃子のことをやらせてもらった。
なんとなく、餃子の作り方知っとくのいいかなって思っただけ。
穂波の好物だし…
その間に穂波はいろいろ手も足も動かしていろいろやってた。
頭の中、どんな風になってるんだろうな。
見てて気持ちがいい。
無駄がなくて、流れるようにいろいろをこなしてくその様子。
そして、いつも穂波は楽しそうだ。
『研磨くん、手、冷たくない?
それはもういいから手を洗って、これ混ぜてもらっていい?』
「あ、うん」
穂波がかわいくて、ボウルに手を突っ込んだままじっと見ちゃってた。
言われた通り手を洗って、
刻んだネギやおろしたニンニクとかいろいろ入ったのを混ぜる。
「これはなに?」
『湯豆腐にかけたらおいしかなぁって。タレみたいな』
「へぇ、いいね。うまそ」
『ちょっとだけピリ辛にした』
「うん、いいんじゃない」
『…ねぇ、研磨くん』
「…ん?」
『朝一緒に起きて、一緒に日中過ごして、
一緒に夕飯の買い物に行って、一緒に夕飯を作ってる』
「…うん」
『わたし、幸せ。 こんな素敵な1日をありがとう』
「…ん」
『しかも、餃子!』
「…ふ 笑 うん、まだ今日は終わってない」
『うん、まだ終わってない!』
不思議だ。
誕生日って、祝われてる方が幸せなんだとなんとなく思ってた。
でも、祝う方が、こんなに嬉しい気持ちになるんだ。
去年も思ったけど、今、より強くそう思った。
まぁ誕生日は明日だけど。
なんていうか…
穂波が笑っててくれて嬉しい。って心から思う日、っていうか。
よくわかんないけど。
なんか、ありがとうって思う。