第38章 シロワニ
ー穂波sideー
「え、餃子の皮そんなにいる?」
うちのある駅に着いたときはもういつもの商店街は閉まる頃だったから、
せかせかしたくないしスーパーで買い物。
餃子の皮30枚入りを3つ……かごに入れようとしたら、
研磨くんが引き気味で言う。
「あ、心さんたち帰ってくるのか」
『うん、帰ってくるけど夕飯は食べてくるよ』
「…え、じゃあなんでそんなに買うの」
『………』
「ちょっと待って、穂波いつも何個食べるの。
たこ焼き8個でお腹いっぱいになるよね、6個でちょうどいいくらいだよね」
『………』
「………」
『…40個くらいはぺろりと』
「いやちょっと待ってなんで」
『…ご飯は食べない』
「…そっか いやでも多くない?」
『うう… 餃子は別腹で……』
「何それ初めて聞いた 笑
穂波は40個だとしてもおれはそんな食べないから2袋でいいんじゃない。
60個作れば十分だよ、多分。 あ、作り置きとかとかできるの?」
『したことないけどできるはず』
「…したことないんだ 笑 食べちゃうってことか」
『………』
「じゃあ3袋買おう。穂波の感覚に任せる。おれもごはんいらないや」
『…ん あ、ご飯は食べてもらって全然構わないよ。
朝炊いたご飯あるし、チャーハンにしてもいいし』
「うん、それもいいね。 じゃあとりあえずこのまま 笑」
研磨くんがにやにやしてる。
「ごめん、いきなりの大食い穂波の出現に……笑」
『………』
「しかも、餃子……笑」
『………』
「…くッ 笑」
研磨くんがまた、笑ってる。
餃子ってそんなおかしい? って思いながら、
研磨くんの震える肩、揺れる髪の毛が愛おしくてじーっと見てしまう
「…ん あとは、なにがいる?」
『春雨と……』
必要なものをカゴに入れて、お会計して。
買い物袋を一つずつ持って、お店を出る。
一緒に食材を買って帰るのって、本当に、それだけで幸せ。