第38章 シロワニ
ー研磨sideー
布団の中で身体を寄せ合って触り合ってたらムラムラしてきて
結局、気が付いたらもう重なり合ってた
穂波がお風呂入れてくる って言ったから
じゃあおれ、ストーブに薪をくべとくね って言うと
穂波は目を見開いて嬉しそうにした。
…前にもこんなことがあった気がする。
それでその時も、今日もあの歌を歌ってた。
Our Houseって歌。
ストーブ、って単語は聞こえない気がするけど
そんなこと歌ってるのかな。
まぁ、タイトルがタイトルだし、家の曲なんだろな
ゆっくり風呂入って 朝ごはん。
昨日の残りの刺身を漬けにしたので作ったお茶漬けが激ウマ。
それからゆっくり支度して 今から家を出る。
池袋で乗り換えて大井町まで。
最寄り駅まで行こうと思ってたけど
大井町から送迎バスが出てるからそれに乗ろっかって。
絵が描いてあるとかいう理由ではしゃぐわけじゃないけどなんか、せっかくだし。
バスとかまだあんま一緒に乗ってないし
アイボリーの太畝のコーデュロイパンツにアイボリーのざっくりしたニット。
生成りのトートバッグ、アイボリーのハイカットコンバース。
全部おんなじような色。
穂波が白っぽい色だけ着てるのすき。茶系もいいけど。
いや黒もいいし、デニムもいいんだけど、でもすき、今日の服
『…? 研磨くんどうかした?』
「ううん、どうもしてない」
『しながわ水族館ってさ、ドクターフィッシュいるよね』
「…ドクターフィッシュ?」
『皮膚食べてくれる子たち』
「…あぁ、やったことない」
『きっと研磨くん、くすぐったいって言うかな』
「どうだろ。 でもやってみたいかも」
『ね、やろうね。 あと何がいたっけなぁ…』
「穂波は海洋学のなにに興味があるの?」
『…ねー 全部。 全部知りたい。
海洋生物も、海洋化学も、海洋物理も…』
「海洋生物もやっぱ興味あるんだね」
『うん、すっごくある。
何にだろう、まだこれ!って生き物がいるわけじゃないんだけどさ』
わくわくした顔してる。
かわいい。
別に仕事に繋がらなくていいから
お金はどうにかするから、好きなことしたらいいよ。
って、言いたいんだけどな。
そのくらいは稼げるといいんだけど。