第38章 シロワニ
「…笑 穂波、なんか壮大なこと考えてる?」
『へ?』
なんで、わかるのさ。
「何考えてた? 聞きたい」
ゲームしながら、でもわたしにも注意を払って。
とびきり優しい声で言う。
『幸せすぎて革命が起こせる気がしてた』
「…笑 革命って幸せで起こすものなの?」
『今まではそうじゃなかったかもしれないけど、そんなこともできるかも。
ジョンとヨーコみたいに』
「…笑 ちょっと待って、おれやだ、それ」
『…笑 ホテルにマスコミを呼んで、2人で裸でベッドインして一日過ごす』
「…笑」
『…それはもちろんしないし、そもそもマスコミなんて集まんないけど 笑
よくわかんないけど、よくわかんないことを考えてたの』
「…ん、それはよくわかった」
『ほら、don’t look back in angerって、ノエルも言ってるし』
「…笑 誰それ知らない」
『…だからなにが言いたいのかって言うと…』
「…笑」
『研磨くん、大好き』
「大好きだよ、穂波」
「…笑」
『へっ』
わたしに合わせて、今なんて言った?
大好きだよって言ってくれた?
あああ 聞きそびれた…
『…ねぇ研磨くん』
「…ん?」
『今なんて言った? もっかい言って?』
「すきだよって言った」
『…ん ありがとう』
大好きだよはとってもレアだけど
だからってすきだよが薄れるわけじゃない。
どっちも等しく嬉しいから。
いいや、それで。
『朝風呂はいる?』
「いいね 心さんたちは今日どこ?」
『葉山の方行くって言ってた』
「…葉山」
『鎌倉の方だよ、また行こう?サーフィンじゃなくても、ふらふらと』
「あ、うん」
『春のしらす丼とか、いいかも』
「いいね、それ」
『ね』
まだ布団から出たくないな…
研磨くんにもう一回ぎゅうとくっつくと
研磨くんはゲームを置いて抱き返してくれる。
あああ…しあわせな朝。