第37章 powder
ー研磨sideー
『はい、どうぞ』
部活の手伝いをしてくれた穂波が部員みんな、
それから直井さんと猫又監督に何かを配っていく。
最後におれのとこにきた。
「ありがと。着替えてから食べる」
なにが入ってるかはわかんないけど。
おいしいのは見る前からわかる。
だって、穂波だし。
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入ってたのは、生チョコレートの小さなタルトと、
細長くスティック状にカットされたブラウニーだった。
どっちも手掴みで食べやすい。
ほんと当たり前のように、そういうこと考えてるんだろうな。
おれはタルトだけ食べて、ブラウニーは明日の朝食べることにする。
みんなは、もう食べちゃう!って食べたり、
明日に取っとくとか、帰ってから食べる、とかわーわー言ってた。
穂波はおれのとなりで相変わらずのかわいい顔して、
なにを言うでもなく、そこにいる。
水筒に入ったあったかいお茶が、あと1杯くらいしかない。と
小さな声でそう言っておれにくれた。
みんなに分け隔てなく接する穂波がたまにみせる、こういうの。
おれを優先してくれる感じ。
優先しろとか思わないけど、思わないからか、
時折訪れるこういうのがすごい嬉しかったりする。
来週の月曜は穂波の誕生日。
日曜がオフだから、
土曜の1日練習のあとそのまま泊まりに行く。
日曜も泊まっていくし、プレゼントは月曜でいいかな、とか。