第37章 powder
ー白布sideー
部活のあと寮に戻ると、
受付のとこで小包を渡された。
送り主は穂波。
土曜に話したこと、ほんとにしてくれたのか。
寮の住所は聞かれたけど、
ほんとにバレンタインに合わせてくるとは思ってなかった。
冷蔵便でとどいた小包の中には、
小さな生チョコのタルト、スティック状のブラウニーが数本。
それから缶に綺麗に敷き詰められたチョコ系のクッキー色々。
ピーナッツチョコクッキー、チョコがけのパイクッキー、
レモンとココアのクッキー、市松模様のクッキー、ラングドシャ。
一緒に葉書が入ってた。
猫の浮世絵の葉書。
【白布くん、こんにちは。この間は素敵な時間をありがとう。
ブラウニーは、冷凍もできるのでもし個人的に冷凍庫使えるなら。
できなくて食べきれなそうだったら、誰かに手伝ってもらえれば…
面倒増やしてたらごめんネ。
あと、クッキー缶やってみたくって。
でも色とりどりじゃなくって、チョコチョコしちゃった。
白鳥沢の皆さんで食べてもらえればと思います。
足りないかな、2年生だけでとか、寮生だけでとか、わかんないけど
白布くんの仲の良い人たちと食べてください。
では、またね♡ 穂波】
…冷蔵庫は小さいのだけど部屋に置いてある。
だから冷凍庫もある。
すげーなあいつ、こんなの作っちゃうのか。
レッスンだったり、なんか3年に英語教えてるとも言ってたし…
自分のエッセーだったりもあるのに。
すげーな、と思いながら安易に想像がつく。
取り立てて忙しそうにもせず、バタバタせず、
いつもの調子でいろいろとこなしてる様が。
食堂でご飯食べてから、クッキーは天童さんたちと食べるか。
あの人チョコ好きだし。製菓学校行くし。
工も、声かけてやるか。
不毛な片想いをしてるのは俺も一緒だ。
それにちゃんと、俺だけのが入ってるから、
こっちは分けてもいいな、って余裕が生まれるし。