第37章 powder
ー月島sideー
間もなく仙台駅につくというアナウンスで目が覚める。
穂波さんは僕に寄りかかって寝てる。
今が、永遠に続けばいいのに。
今日、少し回転系のトリックを教えてもらった。
穂波さんは日向のように擬音も多いけど、
でも教えるのが上手だとおもう。
まぁ、日向と違って賢さはあるわけだし。
──『じゃあ、せっかくだしフロントサイドスピンしてみる?』
「…うん フロントサイドって…」
『蛍くんは反時計回り』
…穂波さんはグーフィーだから時計回りか。
『蛍くん、オーリーもノーリーもばっちりだもんね』
「…ばっちりかはわかんないけど」
『いろいろ他にもやれたらいいなーって思うけど、ちょっと端折ってスピンしちゃお』
「………」
『だって今せっかくスピンの時の身体の使い方とか抜きどころとかわかったし』
「………」
そうしてオーリー180、できるようになったら360。
終始明るく楽しそうかつ若干のスパルタ気味に教えてくれた。
快活なスパルタ、結構えげつないけど。
まぁ、がっつりなスパルタではなかったし。
ほんと、若干…
「穂波さんって思ったよりスパルタだね」
練習は切り上げ、最後にもう一滑りしようと
リフトに乗りながら話した。
『えっ!うそ…ごめん』
「いや、きつくはなかったよ。ゆとりとスパルタの天然両面使いみたいな」
『…?』
「相変わらず中毒性のある人だな、と思った」
『………』
「幼馴染とか、お兄さんとかスケボーの師匠とか?そんな感じなのかもね」
『…どう、かな。 スケボーのカズくんはうん、スパルタ』
「…へぇ 穂波さん、かわいい」
『えぇっ なんで…』
「最後、思う存分好きに滑ってくださいね」
『うん!蛍くんも』
もう十分一緒に滑ったり、練習したりした。
最後はまた、存分に自分の滑りをする穂波さんをみたいと思った。
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「穂波さん、もう着きますよ」
『…ん んー、起きる。 …うーん、ん… 起きたよ』
ごにょごにょとなにかを言いながら目を覚ました。
はぁ… 終わってしまう。
次会えるのはいつだろうか