第37章 powder
ー穂波sideー
時間の許す限り滑って、
源泉掛け流しの温泉でほくほくにあったまって、
今はバスの中。
蛍くんはわたしの頭に頭を預けて寝てる。
明日はどこが痛いかな。
バレーではあまり使わない、スノボではよく使う筋肉はどこかな。
サーフィンはわりと上半身を使う。首とか、腕とか。
スノボはわりとスケボと筋肉に関して言えば似てる気がする。下半身とコア。
まぁ、どれも結局バランスとってなんぼだから、全身なんだけど…
バレーも足腰鍛えられるだろうから
よく言われる内腿とかお尻は無事かな。
背中とか… 筋肉痛くるかな。
でも蛍くん、ほんとにそういうこと一度も言わなかった。
それに、教えてって言ってピボット180の練習した。
ピボットそれだけではそんなやることないし
それだけやっても気持ち良くはないけど、
次に他のトリックをする合わせ技の前置きみたいな
ピボットができてなんぼのトリックも少なくない。
単純にいうと進行方向を変えるために180度回るというか
えいやっと板を持ち上げて… 進行方向を変えるやつ。
これをやりたいっていうことは、次にやりたいことがあるんだなぁ…と思って
むふふ、となりながら教えれることを教えた。
難しい技ではないけど、コツを掴むまで思うようにいかなかったりする。
蛍くんはすっ転んだりしつつもわりあいすぐに体得した。
──「…僕、回転系に別に興味なかったけど、おもしろそう」
『…?』
「今こんな初歩的なのやってるだけでそう思った」
『うん』
「スノボ自体がそういうものだろうけど、
回ろうとするとどうしても物理的に働いてくる外からの力を利用するってことが大事になるよね」
『おぉ… うんうん!それが楽しいとこだよねぇ』
「あともう一つ分かったのは…」
『うん』
「これをスピード出したままやるのってかなり難しいことだと思う。
しかもあまりしならない硬い板で。 だから、穂波さんはやっぱヘンタイ」
『へっ ヘンタイ??』
「はい、変態です。 もとの姿から変わった形態。転じて、異常な状態」
『皆まで言うなぁ!』
「あははっ」
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…うーん、どこをどう切り取って思い出しても
楽しかった〜の一言に尽きるなぁ
幸せじゃ…
そして、ネムイ。