第37章 powder
ー月島sideー
おやすみ、と布団に入ったはいいけど。
前ホテルに行った時は先に寝てしまったし、
そんなにムラムラしてなかった
白鳥沢と試合した翌日で眠かったのもある。
今日もスノボがっつり滑ったし、移動もしたし、
眠いは眠いはずなんだけど、
スノボの時の目に焼きついた映像か、
やっぱり湯上がりの浴衣姿か、
単純にあの、谷間か…
寝付けやしない。
考えないようにすればするほど坩堝にハマるような感じ。
すーすーと寝息を立てて、
穂波さんは呑気に寝てるし。
…はぁ。
これはもう自分でおさめるしかないのか?
下半身に集中してる熱を、自分で…
でもどこで?
ここで?
もし万が一起きたらものすごい気まずいよな…
トイレで…か、それが無難か。寒いのやだけど…
・
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・
今日隣で一緒に寝る人のことを想ってひとりでするというのは…
どうも不思議な感じだった。
惨めでも、情けなくもなく…
妙な興奮があったのは否めない。
手を洗って裾を整え、寝室にもどる。
小さな間接照明をつけて、
少し穂波さんの寝顔を見たいと思った。
布団の横に座り、顔にかかった髪を耳にかける。
…かわいい寝顔だ。
また身体が勝手に興奮してしまう前に僕も布団へ入ろう。
そう思って、身体を動かす。
『…ん もっと近くに来て 寒い』
穂波さんはすーすーと寝息を立てながら、
割合はっきりとそう言った。
「…はぁ」
ため息が溢れる。
当たり前だ。
一体なんなのこの人は。
寝ながら甘えるのこれで3回目なんだけど…
無視して自分の布団へと背を向けようとしたところ、
腰あたりにがしっと抱きついてくる
「…はぁ もう知りませんからね」
『…はやくきて』
僕以外の男、ほんと絶対ダメ。
ほんとこの人、天然たらしどころじゃない。
…他に表現する術が思いつかないけど、
とにかく男のリミッターを平気で外しにかかってくる。