第37章 powder
ー穂波sideー
チェックインを済ませて部屋に向かう。
和室。 広い。 綺麗!
「16:00。どうする?もう行っちゃう?」
『わたしはいつでも!』
「軽く滑って、そのあと一旦何か食べて…
ナイターはがっつり滑れるといいなと思うけど。
あ、穂波さん普通に中級くらいのつもりでいるけど大丈夫?」
『うん、大丈夫!』
予約時に明光くんが夕飯を夜食に変えてもらうようにしてくれたって。
…ううう。明光くんも宿の方もほんと優しい。
だから21時まで滑って、
帰ってからお夜食いただいて、そして温泉って流れだ。
明日も朝一滑りたいから朝食は一番早い7時。
ううう。たっぷり滑ってもなお、だらだらもできる。
至極の贅沢…!
「じゃあ僕あっちで着替えてくるんで」
『あ、うん』
「着替え終わったっていうか、見てもいい状態になったら声かけてください」
『あ、でも。 インナー着てるし、別に大丈夫だけど』
「…はぁ いいですから。あんま脱ぐとこみるのとかあれなんで。着てるってわかってても」
『…あ、はい。 じゃあ、声かけるね』
あああ… 自滅。
今の言わせちゃった。
ことにより、急激に意識してしまう…
・
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『…ん。もう大丈夫』
「はーい あはは、もう完全防備だ」
なんだか訳が分からなくなって全部着た。
ニットキャップも被ってゴーグルまで頭に着けてしまった。
「さすがにゴーグルは早いでしょ。笑 首にかけるならまだしも」
『…いいの、どっちでもいっしょでしょ』
ていうか蛍くん、ウェア姿… やっぱかっこいい。
カーキ系のなんだろこれ、カモフラじゃなくってインクが染みたような模様。
そんなジャケットに、黒いパンツ。
キャップもゴーグルもまだ着けてない。 …当たり前か。
「穂波さんのウェア姿、唆られる」
『………』
「あはは!笑」
蛍くん、さっきの一言でわたしがどうなったか察して、
わざとこれ言ってるんだ絶対。
早くもいじわる蛍くんのスイッチをオンにしてしまった。
わたし、大丈夫かな