第37章 powder
「…焼肉、鉄板焼き、定食屋、洋食屋…とか。
結構ある。 商店街の方行くと」
『ほぉぉぉ… 白布くんはなに食べたい?』
「…じゃあ2択までしぼるから、そっから穂波選べよ」
『うん』
「…焼肉か鉄板焼き」
定食屋だと一品ずつ頼んで終わりで、
すぐ帰ることになりそうだし。洋食屋も然り。
『じゃあ、鉄板焼きで! いいね、鉄板。ほくほくだね。
大きな鉄板で焼いてくれるやつ? セルフで焼くやつ?』
「焼いてくれるやつ」
『やったー わたしあのヘラ捌き見るの大好きなの』
「…ヘラ捌き」
やったーっていうと同時に、繋いでる手にギュッて力が入る。
…いちいち可愛いな、くそ。
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席は他にもあいてたけど、
穂波はここがいいのかな、
とカウンターっていうのか?鉄板の前の席に並んで座る。
一つのメニューを覗き込んで、
どれにしよっか、とかなんとか。
あまり会えない友達との夕食ってとこかな、穂波にとって。
俺にとっては好きな子との、夕飯。デート気分だ。
烏龍茶2杯、海老の塩焼き、タコと小柱のにんにく焼き、
どんこ焼き、海藻サラダ、水キムチ。
あと俺部活終わりでとりあえずもうちょっと食べたかったから、
しらすの焼きおにぎり。
「なんだ君たち。高校生?」
鉄板の向こうからオーダーの紙を受け取って確認した店の人が話しかけてくる。
『はい。そうです』
「随分酒飲みっぽい頼み方だな。
たまに高校生が来てもお好み焼きとジュース飲んでおしまいだぞ」
『…すみません、お酒頼めなくて』
「ぶはっ 笑 そういうこと言ってんじゃねーよ。
おもしれー2人だなって。気に入ったわ。今日はデート?」
『…んと……』
「はい、デートです」
「…なるほどねぇ」
今ので俺が穂波のことを好きなのは確定、と言わんばかりの表情。
まぁ事実だし、そもそも本人も知ってることだし隠す必要はない。
それから部活やってんのか、とかそういう話になりつつ、
できた品から目の前に差し出され穂波とはふはふ言いながら食べた。
うまいし、穂波の横顔は可愛いけど…
おっさんと3人で話してる時間も多い。