第37章 powder
ー研磨sideー
2月1日(金)
昼休み。
『来週の三連休、宮城に行こうと思ってね。
それで蛍くんとスノボに行こうと思うんだけど』
あぁ、前に約束してたな。
ていうか、おれも穂波とスノボ行きたいし。
『ゲレンデの前の宿に一泊なんていうのは論外でしょうか』
「………」
うん。普通に考えて論外だよね。
…でもこうやって聞いてくるあたり、
っていうかそもそも目の前にいるのは穂波なわけで。
おれの彼女は穂波なわけで。 泊まりたい理由は…
「朝一で滑りたいの?」
『…うん。あとナイターも。せっかくだし』
「はぁ…」
なんで別に大丈夫じゃない、って言いそうになるんだろ。
寝取られ願望とかおれ、全然ないから!
「月島はなんて?」
『泊まる理由もわたしと一緒。 なにもしないから。って。 必要なら研磨くんと話すって』
「………」
なにを話すんだろ。
今聞いたこともう一回話す感じになるよね。
…でも、いっか。話聞いてみても。
「うん、わかった。じゃあ、一回話聞くよ」
ちょうど向こうも昼休みじゃないかって、
穂波がLINEを入れるとすぐに返事が来たって。
穂波の電話を借りて話すことに。
「…もしもし、あ、月島です」
「…ん」
「あの、すみません。話すって言っといてなんなんですけど、一個聞いてもいいですか」
「…ん」
「僕と話す以前の問題じゃないですか?」
「…笑 うん、まぁ、普通そうだよね」
「………」
「でもまぁ、穂波だし」
「………」
「それに……」