第36章 たぬき
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じょー………
え。
ん?
ハルくんが、漏らした。
「ちぃー やったー ねー」
「え、うん? おしっこ出た? ちょっと待ってね、拭くもの…」
オムツとかしてないのかな。
1歳5ヶ月?
萌さんのところに行こうとしたら
「あっち あっち」
足元に水溜りを作って動かなくなってるハルくんが壁の方を指さす。
ホーローのバケツみたいなのと並んだかごの中に
古いタオルが入ってる。 これのことかな。
とりあえず一枚持って、
「萌さん、これでおしっこ拭いていいの?」
一応確認する。
「あ、ハル、おしっこ出ちゃったかぁ。ありがとう研磨くん。うん、それでお願いします」
立ち上がりながら萌さんが言う。
とりあえず固まったハルくんはそのままに水溜りになったおしっこを拭いてると、
萌さんが優しくハルくんに声かけながら立ち上がらせてずぼんを脱がせる。
「研磨くんありがとう。ちょっと、ハルの足洗ってくるね。そのタオルももらう」
「…ん」
なんか目まぐるしいな、小さい子って。
嫌だと言われたかと思ったら、一緒に遊ぼうってきて、
わーっておもちゃ渡してきたかと思ったら、静かに遊び出して。
そしたらおしっこ出て、うん。目まぐるしい。
足を洗ったハルくんが戻ってきた。
おしりちいさいな。
萌さんがパンツを履かせようとすると首を振って
パンツとズボンを持っておれのとこにくる。
「…研磨くんのことすごく好きみたい」
「…え、でも」
「おかしいよねぇ あんなにいやいや言われたのに。
結構みんなさ、機嫌取ろうとしちゃうんだよね、どうしても。
そうするとこの子はさ、余計に引いちゃうの。
研磨くんは無視してるわけではないけど、でも自然な感じでスルーだったから。
多分、ハルのどストライクな感じだったんだと思う」
「………」
「着せてもらえるかな?」
「あ、うん」
おれの前でパンツとズボンを持って立ってるハルくんからそれらを受け取る。
萌さんは堅く絞ったタオルでおしっこのとこを拭いてから、スプレーをシュってした。
穂波がマネの部屋を掃除してくれた時と同じ匂いがする。