第36章 たぬき
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朔さんの家で夕飯をご馳走になった。
ピェンロー鍋っていうらしい。
シンプルですごい美味しかった。
穂波がすきそう。
「…え」
ご飯を食べ終えて、お皿洗うの手伝ってたらいきなりズボンを引っ張られる。
かなり、低い位置で。
下を覗くとハルくん。
あれ、もしかしてここで洗い物しちゃダメとかかな。
ここに入ってくるな、的な。
でも、イヤな顔してないな。
「あっち あっち」
「あっち?」
「あっち つーき」
あっち つーき?
ちょっとわかんないから、手を拭いて一回しゃがむ。
「あっち、つーき?」
「ん! あっち!」
おれに一緒に来いってこと?
「あ、ちょっと待ってね。 お皿…」
「いいよ研磨くん。もし嫌じゃなければハルの相手をしてくれると僕は嬉しい」
一緒に洗い物をしてた朔さんにそう言われたので、
そっか、小さい子がいると皿を洗うより、
子供の面倒を見てもらえる方が助かることも多いのかなとか
よくわかんないけど、思った。
「…ん。 じゃ、いこっか。 つーき、みせて」
「ん!」
人差し指を握られおもちゃ置き場に案内される。
「つーき!」
積み木だった。 積み木か、つーき… へぇ…
木の箱からどんどん出して渡してくるから、
とりあえず、なんとなく重ねたり、並べたりしてく。
無言。 積み木の音と、ハルくんの鼻息?呼吸?の音。
積み木を渡してこなくなったと思ったら
しゃがんだまま一生懸命積み木を重ねてる。
6個からが難しいのかな。
成功したり、しなかったり。7個はまだ無理みたい。
しゃがんでると物理的に無理なのかな。 てか、腕短かいな。
…観察してるとおもしろい。