第36章 たぬき
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アトリエで作品を見させてもらう。
前と変わらないシンプルな定番のがほとんど。
すこし抽象的なフォルムのきれいな髪飾りとかバッジは前と違う。
バレッタ?髪留めもいいなって思うけど…
やっぱピアスかな。
アキくんとドライブだから、
なんかいい感じのお店に行くだろうし、
いいものあるかもしれないと思って貯めといたお金持ってきてよかった。
ネックレスの時ほど予算はないけど、小粒のピアスなら余るくらい。
ネックレスと一緒の18K、同じ色にして。
…別に予算内だから選ぶわけじゃなくて、
いいなと思うのが予算内で、だから。 うん。 これかな。
「お。研磨、プレゼント?」
気付いたらアキくんが前にいて。
「うん。まさか朔さんのところに来れるとは思ってなかったけど。
ちょうどいいな、と思って。 ピアスにしようかな」
「………」
「これイメージにぴったり」
「…研磨ってさ」
「…なに?」
「独占欲、普通にあるよな」
「あぁ、うん。ある。 普通なのかな、わかんないけど」
「執着なさそうな雰囲気出しといて。肌身離さず着けれる感じの選ぶよな」
「…それはなんか、穂波のイメージにそっちの方が合うから。
いろんなの日替わりでつけるっていうより。
いやでも、うん。ずっと着けれるのとりあえず渡したい、とは思う」
「ははっ 素直じゃん。 かわいい。 それにイメージに関しても俺も同感」
「…でもさ、こういうのも絶対似合う」
前後に垂れ下がるようなやつ。
細ーい線で、控えめででも、綺麗。
「…だな。 研磨かわいいわ。 ツトムに報告しよーっと」
「ちょっとやめて…勝手におれの話で盛り上がるの」
「はは、それは、無理!」
飄々とそう言って、アキくんはバレッタとかのとこを見に行った。