第36章 たぬき
ー夜久sideー
念願の穂波ちゃん弁当。
野沢菜まき入ってるし、
他のおかずもどれもこれも冷めてても上手い。
「あー夜久が後輩の彼女略奪してら」
「夜久ぱいせんこわーい」
「夜久、部活引退後もなにリア充してんだよ」
「っつーか弁当やばくね?すげーうまそう
高校生女子の手作り弁当じゃねー!高校生男子の胃袋掴む弁当じゃん」
「なんだよ肉巻と野沢菜巻って」
黒尾にどっか行ってもらったけど十分他の男子でうるさくなった。
「お前らうっせーわ!散れ散れ!」
「こわーい、ねぇ、プリン頭の彼はどうしたの?」
『彼は下で食べてます、自分の教室で』
「…別れたの?略奪?」
「別れてねーわ!略奪じゃねーし!」
下で研磨も同じ弁当食ってるっつーの。
にしてもマジで旨い!
「なぁ、穂波ちゃんアメリカの大学行くんだろ?」
『うん、そのつもりで進めてる』
「…すげーなー!俺も海外で活躍してー!」
俺は進学せずVリーグへの内定が決まった。
北海道とか九州とか行ってみたいけど、東京のチーム。
『バレーはどこが強い?ロシア?』
「なー!ロシアのチームとかで活躍できたらいいよな!」
『うんうん!』
「研磨と離れるのに心配とか不安はねーの?」
『…? それは研磨くんがどんどんかっこよくなっているということに関してでしょうか?』
「いや違うけど」
『いや違わないの。
研磨くん、最初からかっこよかったのに、日に日にかっこよくなって色気も増して…』
…しまった、バカップルののろけスイッチ押しちまった
「それは穂波ちゃんが引き出してんじゃねーの?」
…色気に関してはどう考えてもそうだろ。
『えっ違うよー だって、春高の後からまたなんだかすごいと思うの。
…バレー? 翔陽くん? なんだろうね、引き金は』
本人は変わらずこの調子だけど。