第36章 たぬき
ー研磨sideー
『おでんたぬきのおじさんが溶かしたのは何かこれに関わるものな気がする…』
…?
グラノーラのおかわりをお皿に入れてくれて
少量を自分の手のひらにも乗せたのをつまみながら
ハッとした顔をしてよくわかんないことを呟く。
…ていうかおでんたぬきは流石に 笑
「…おでんたぬき 笑」
『………』
「…ダイジョーブ?」
『うん、謎解き中』
「…そっか」
グラノーラをばりぼりと少しずつつまむ。
オートミール、アーモンド、クランベリー、ココナッツフレーク…なんかいろいろ
ぱらぱらしたやつじゃなくて、ちょっと固形っぽくなってるからつまんで食べやすい。
『… Sharing what you can, nothing more, nothing less』
「…?」
『………』
「…うま」
『研磨くん、わたしレベル上げできたかも』
「へぇ」
『おでんたぬきの魔法使いのボーナスステージ的な』
「…ふ 今日弁当食べる時にでも聞かせて」
『うん』
お茶を飲んで、皿をシンクに持っていて、着替える。
歯磨きする。
ネクタイを締めるのをやっぱり穂波はじっと見てる。
…笑
「穂波、あんまぼーっとしてると遅刻するよ」
『あ、うん』
「遅刻はサーフィンに取っとかなきゃ」
『うん』
「…弁当、ありがとう。持ってくね」
『うん』
「クッキー持ってきてね」
『うん!』
「穂波、今日もかわいいね」
『………』
「…笑 じゃあ行ってきます。 またね」
行ってきますの一言にハッとしたように立ち上がって
後ろからぎゅっと抱きしめてくる
「…ん」
『ん』
「…えっと」
『キスして』
「…ん」
穂波の方を向くと
穂波は目を瞑ってキス待ちの姿勢みたいにする。
ほっぺにちゅってすると
心外!と言わんばかりに目を開いたので
そのタイミングで少し強く唇にキスをした
その流れで舌を絡めると歯磨き粉の味と
穂波の口の中のヨーグルトの味が混ざって
妙に爽やかな味になる
穂波は深いキスにつられて
ブレザーのボタンを外してネクタイを緩め、
シャツのボタンに手をかける