第5章 夏
ー穂波sideー
夕暮れ時、みんなでぼーっとしていたら、
もういてもたってもいられなくなって、
気付いたら波打ち際まできて踊り出していた。
昨日も今日もとっても楽しくて、
海にもこれたことが嬉しくって、
溢れるそういう気持ちでいっぱいだった。
踊り終えると、海から強い風が吹いてわたしの体を撫でていった。
無心で踊って、繋がった〜ってなるときがある。
裸足が大地と、頭の先っぽが空と。
全身でこの世界と。
そういう時に雨が止んだり、風が吹いたりするのはいつものことで、
自然から返事をもらえたような気持ちになる。
そういうとき、
自分がどっしりとすごく落ち着いた感じもするのだけど
ちょっとハイになっているところもあって、
気付いたら研磨くんに抱きついてキスをしていた。
「……ちょっと研磨。そろそろ離れてよ」
カズくんの声にハッとする。
…やってしまった。
『………あ。…周りが見えてなかった。…ゴメン』
研磨「…ん。大丈夫。分かってる」
今まで何度かこういうことをしてしまったけど、
研磨くんは本当にいつもの調子で返事をしてくれる。
…分かってるか…分かられちゃってるのか
研磨くんはいつも本当に冷静だナ。
車ではカズくんと研磨くんの間に座って、
気がついたらみんな寝ていた。
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ツトム「そろそろ起きてね〜」
夜久「おーい、みんな〜起きろ〜」
ツトムくんの声に目を覚ました夜久くんの声で目が覚める。
夜久「姉弟みたいな三角関係」
夜久くんはそう言いながら笑う。
『………?』
研磨くんはわたしの肩に頭を乗せていて、
カズくんもわたしの身体に持たれかかって寝てる。
このことを言ってるのかな…
確かにカズくんとの歳の差はお兄ちゃんとわたしと一緒で、
姉弟っていうのもしっくりくる。
でもどっちかっていうと研磨くんの弟みたいだ。
そんなことをぼんやり思っていると、
クロさんと遊児が起きて、それからカズくんと研磨くんも目を覚ました。
「おっし、着いた」