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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第36章 たぬき


ー穂波sideー






『 ! 』






おじさんの手からいきなり何かが出てきた
さっきまでは多分、手相を見てたんだと思うけど…
いや、そもそもその時からそれだけじゃなかったのかも。






「…お、やっぱりわかったかい?」

『…ん。じんじんする』

「…いいねぇ、いい!気に入った!」






おじさんの手からモワモワとした暖かくて小刻みに揺れてる何かが出てきたかと思うと
すーとわたしの両の手のひらに入ってきて、胸のあたりまで流れ込んでてきた。

小さな詰まりを一つ溶かすように、
弾くようにしたかと思うとまた流れ出し、次は喉へと…






「…このくらいにしとくわ。嬢ちゃんはこんなのなくてもいいとこまでいけるよ。
脳みそちょっといじりたいとも思ったけど、なんつーか、神聖な感じがするわ」

『………』

「邪念がないな、あんたは。 ただ床に関しては邪念じゃねーけど、欲深いな」

『…とこ』

「こら、若い娘さんに何てこと言ってるの!」




とこ… とこ…




「すげーイイだろ、なぁ、坊主。 こりゃ手放せないわな、色んな意味で」

「…まぁ、それは別に、手放せない理由ではないけど。でもイイのは否定しない。
おじさんなんか見えるの?」

「おー、ちょっと怒ってる。おっかねー未来の億万長者」

「…は?」

「具体的な映像は見えたりしないから安心しろ。
ただ入ってくるいろんな情報を組み合わせるといろいろとわかることがあるだけだよ。
坊主も得意だろそういうの。その情報収集の仕方が、他とちょっと違うだけ」

「…ん。ならいいけど」





研磨くんもだいぶおじさんに打ち解けたようだった。
おじさんはまた何事もなかったのように隣でお酒を飲み始め、
わたしたちはちょっと不思議な感覚に包まれながらおでんを食べた。





あの、詰まりが溶ける感じ、なんだったんだろう。
というか、何の詰まりだったんだろ








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