第36章 たぬき
ー穂波sideー
深いカーキ色のウールパンツ、黒いフーディー、
キャメル色のオーバーサイズのウールコート、黒いコンバース。
ノースフェイスの黒いウエストポーチ。
はぁ。目の保養、すごい。
研磨くんはいつもどこでもかっこいい。
ジャージでも私服でも制服でもなんでもかっこいい。
おでん、ほんとに美味しい。
そして、糠漬けが…!
『おいしい〜』
「…ふ この唐揚げもおいしいね。 にんにく?」
『…ね!にんにくの粉とかかな。 ご飯食べたくなるね』
「…頼む?」
『………』
「…これ、穂波好きそうと思って」
茶飯とあおさ汁。
おでんのお出汁で炊いたごはんだって…
ううう
でもまだおでん残ってるし、残すのはぜったいいや。
アップルパイも食べれたらいいなって思うし…
「…笑 2人で、1つなら食べれるんじゃない?」
『うん、そうする』
「それはなぁ、ごはんにも合うけどこっちだよ!」
隣の席から話しかけられる
ビールのグラスを上にあげたおじさん。
「若いくせに定食頼まず、通な頼み方しやがって。一杯やるか?おごるぞ」
「ちょっと、2人ともまだ未成年じゃないの」
「んな、細かいことはいいんだよ!」
「よくないから!ここ家じゃなくて、お店! …ごめんなさいね」
『…いえいえ。 まだ未体験のゾーンを想像しただけで口の中に涎が溢れます』
「…笑」
「…?」
「だはははは!気に入った!
おーい、大根、こんにゃく、たまご、全部味噌で!あと熱燗くれ」
おじさんはまだテーブルにお漬物やおでんが並んでるのに追加で注文を入れた。
そして通りかかったお店の人に研磨くんは茶飯の追加注文をお願いした。