第36章 たぬき
ー穂波sideー
「…どっか出かける?」
研磨くんに聞かれた。
昨日も、明日何する?って言ってた。
別にいつも約束とか予定とかなく、
基本行き当たりばったりなのに。
お出かけしたい、気分なのかな。
『うん、出かけてみよっか』
「…どこ行こう 観たい映画とかある?」
『あるはあるけど… 研磨くんはそんなでもないと思う。
映画館に行くなら2人が観たいの観たいな』
「どんな映画?」
『ドキュメンタリーで、バレエダンサーを目指す人たちのいろいろ』
「…そっか」
『なんだろ、そういう感じは家でいいかなって。 …何か食べに行くとか?』
「うん、いいよ。何食べる?」
『わたしね、おでん屋さんのおでん食べたい。
ほんとは屋台のおでんが食べたいけど、昼間からあるのかな?』
「…笑 なんでいつもちょっとおじさん寄りなの」
『えっ?』
「誕生日もラーメン屋だったし。一番すきな食べ物餃子だし」
『………』
「いいと思うよ …ふ 笑」
『…んと、じゃあやっぱり、』
「いやだから、いいと思う。おでん屋調べよっか」
研磨くんは笑いを噛み殺しながら携帯で調べてくれる。
「穂波用意してきたら?薪は、もういれない方がいいよね」
『うん…じゃあ、着替えてくる。研磨くんありがとう』
「…ん、別に何もしてないけど」
…そういえば治くんがドラマをおすすめしてくれてたな。
孤独のグルメっていうやつ。
帰ってから探してみよっと。
そんなことを考えながら準備をする。
おでん屋さん、嬉しいなぁ。