第36章 たぬき
ー研磨sideー
1月7日(木)
マネージャー希望の1年に流れを教えるために穂波が来てくれた。
…うん、いい。
虎はまだ女子とまともに話せないけど、
これを機に話せるようになればいいのに、とか思う。
あと、虎の良さって多分、そばにいた方がわかるから…
でもどうやら2人のうちの1人の目的は…
「やばいやばい、リエーフくん半端ないッ」
「もー、わかったから今は業務に集中しよう」
リエーフらしい。
もう1人の子は単純にバレーって面白いって思ったって感じかな。
今日の練習が終わった。
「運天先輩と孤爪先輩は1年みんなの憧れだよね!」
「…うん。みんなかは分からないけど、私は憧れてます」
『…ふふ。ありがとう。研磨くんはわたしの運命の人です♡』
…いやちょっと穂波、そこそんな風に返さないでいいんじゃない。
とか思いながら部室へと向かう。
前に使われてたマネ用の小部屋が物置と化してるから、
明日の朝練の時とかレッスン前に穂波が掃除してくれるって。ありがたい。
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『かわいい子たちだね、1年生』
「………」
いい子だねって言われたら、まぁ、うんって答えれるけど
かわいい子だねって言われてもなんて返せばいいかわかんない。
別にかわいいって思わないし…
だからってそれを言葉にするのは角が立つことくらいおれにも分かる。
『春に新1年生が入ったら、
わたしが犬岡くんたちに教わったみたいにしてけるし』
「…ん」
おれ的にはおれが引退するまでは穂波はマネ代理で、
あとは自分たちで、でよかったんだけど…正直なところ
でも穂波もやりたいことあるだろうし…
まぁ、いい。
ていうか、しょうがない。