第36章 たぬき

ー侑sideー






「はぁ！？」






なんでサムも角名も穂波ちゃんの連絡先知っとるん？
意味がわからん。

朝練の後から２人ともなんて送るか真剣に考えとる。
なんなん。






「いやちょっと待って！　なんで？」

「俺は穂波ちゃんから聞かれたで」

「はぁ？絶対ないわ！　なんでキスしてきた男に穂波ちゃんが連絡先聞くんやし」

「…俺のキスがえかったんと違う？忘れたないし、もっぺんしたいわって思たんちゃう？」

「意味がわからん！　あ！食いもんで釣ったんやろ！
絶対そうやし、穂波ちゃんもなんや食べるん好きそうやったしな」

「………」

「ほんで角名はなんでなん？」

「家においでいうて誘われた」

「はぁ！？」

「…ほんで、サムに連絡先聞け言うから、そこまでするんやったら今教えろやって言うた」

「…サムに聞けって言われたん？」

「言われたよ」

「ほんなら俺にも教えろや！」

「…いや意味がわからん」

「教えんし」

「ていうかなんで教えてもらわれへんかったん？」

「知らんわ！　もう最終日は聞かんかってん…しつこくいうてもな、思て」

「…しょぼ」

「しょぼないわ、相手を慮ったんやし、普通やろうが！」

「…やからそれおもんないで」

「ボケてへんわ！　もーええ、北さんに聞くわ。　ほんでなんて打ったん？既読付いた？」

「既読つかんわ」

「ほんと最低限の使い方しかしとらんみたいだったしな」





…ふん、別にお前らの連絡待っとるわけちゃうってことやん。
でもなんで俺だけ除け者みたいになっとんの？なんか納得いかんな。