第35章 fun
ー穂波sideー
研磨くんのところへ行って
なにを話すでもないけど一緒に出口まで歩いた。
「…バスで一緒に帰る?多分穂波ならいいと思うけど」
『ううん。烏野のみんなの顔だけでも近くで見たいし。
大地さんたちはほんとにしばらく会えないかもだし…』
「…ん、そだね。 じゃあ、また、明日」
研磨くんはそっと額にキスを落としてくれる。
それから、頭に手をぽんってしてから、小さく手を振ってみんなの方へと向かって行く。
烏野のバスがあるあたりにいればいいかな、
どこで待ち伏せすればいいかな…
別になにがどうとかじゃなくて、ただ直接ありがとうって。
おつかれさまって言いたいだけなんだけど。
会場内をうろうろ、うろうろしてると…
「穂波ちゃーーーーーーーん!」
後ろから大きな、大きな、大きな声。
『光太郎くーーーーん!!!』
「見てた?見た!?俺のこと!」
『うん!かっこよすぎて、震えた!涙、いっぱい出た!』
「でしょーーー!」
『光太郎くんっ! 良い試合をありがとう!』
そしてどちらからともなく、
まさに、これぞ、熱い抱擁!
お互いの身体をぎゅうーーっと抱きしめると、
だんだんとわたしの足が床から離れて行く
…あー、明日も試合みにきたいなぁ
「木兎さん、穂波ちゃん制服なんですよ」
「んー?赤葦どーゆーことー?」
「赤葦それ言ってくれるなよー もうちょっと、あともうちょっとで…!」
「何言ってるんですか、木葉さん」
光太郎くんは頭に ? を浮かべながらわたしを下におろしてくれる。
『京治くん!』
「うん、穂波ちゃん。顔が見れて、それだけで嬉しい」
『うん、でもハグしたいな。いいかな?』
「あぁ、うん、もちろん」
ぼすん、と胸に顔を埋めると頭をそっと撫でてくれる。
『…京治くん、すごくかっこよかった。そして、感動した。ありがとう』
「…うん。ありがとう」
「ねぇ、穂波ちゃん、俺もハグしてほしいんだけどなぁ」
木葉さんがあの色っぽい目でわたしの顔を覗いてくる。
ぼしゅッ…