第35章 fun
「もっと知りたいな、チャンスを無駄にしてられんな、いう想いで使うんじゃないの」
『やだ倫ちゃん』
「なに?」
『きゅんってした』
「あ、そ。 ちゃんと試合観よか」
淡々と 淡々と 会話をして。
静かにじーっと、でも力みなく、並んでコートをみる。
どっちも肩の力が抜けてて、
長身で、ポジションも一緒で、ブロックが上手。
でも幸郎くんと倫ちゃんって全然違うな。
おもしろいなぁ。
蛍くんは、またちょっと違う。
肩の力は抜けきれてないけど、それがたまらない魅力につながってる。
あぁ…もう… コート内もベンチも、そこかしこを見ていたい。
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翔陽くんのサーブ。
ネットに当たって前に落ちたのを鴎台がレシーブ。
そのまま烏野に返る。
チャンスボール。
みんなが攻撃の意思を持って飛ぶ。
影山くんのツーアタック。
…鴎台、ブロック反応、しかも3枚。
ボールは烏野コートに落ちるかと思ったけど、
バックアタックしようと飛んでた大地さんの足に、あたった?
それで大地さん、そのまま蹴り上げて鴎台コートに。
次は鴎台のチャンスボール。
速い攻撃。
蛍くんのブロック。ワンタッチ。
そしてボールの先には翔陽くん!
そして蛍くんがそのまま助走にはいって、
高い高いところから3枚のブロックの上から?かな、打ち抜いた。
あああ かっこいい!
決まる!と思ったら、鴎みたいな目のすごい人がナイスレシーブ。
鴎台の一際背の高い人のスパイク。
3枚のブロックの上から打ち抜いたクロスの先に。
…また、居た。 翔陽くん。
そしてレシーブしてそのままバックアタック。
すごい、すごいすごい。
翔陽くん、ゾーン?ハイ? なんかすごい境地にいる感じ。
みんなだけど、翔陽くんがなんか、すごい。
14-18。
着地したまま、膝をついてる翔陽くんに龍之介くんが手を差し出す。
そのまま起き上がって、わーいってするかなって思ったら…
翔陽くんがよろめく。
…?
もう一度起き上がろうとしても… 起き上がれない?
烏野、タイムアウト。
…発熱、とか? 熱ハイ…
遠くからでもわかる。
翔陽くんが身体を震わせてること。
そして山口くんの付き添いで翔陽くんが歩き出す。