第5章 夏
痛そうな失敗はそれから段々減って
傍目にはできてるようにみえた。
2人が何か喋った後、
カズくんはまた坂みたいになってるとこに向かって行って
穂波はこっちにスケボーに乗ってきた。
クロ「すげー頑張ってたね。ずっと見ちゃった」
夜久「いやまじすげーわ。お疲れ〜」
『…いやぁ〜 思いっきり転んじゃった 笑』
クロ「笑ってられるの、ほんとすごいわ」
研磨「…大丈夫?」
『…ん、大丈夫。ありがとう』
それからカズくんが滑るのをみんなで見て、車に向かう。
汗をかいたから着替えると言っていた穂波は、
ズボンはそのままで、レモンイエローのブラウスを着ていた。
花の刺繍が入っていて、首元は鎖骨がみえるくらいに開いてる。
…かわいい
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昼ごはんの後、浜で過ごした。
浜を2人で歩いてるだけなんだけど
波の音や潮風は確かに落ち着くな、と思う。
髪が潮風に揺れていて、風と遊んでるみたいにみえる。
海に入れなくても、ここにきてるだけで表情が活き活きとしていて…
今日は知らない穂波をたくさん見ている気がする。
繋いでいた手を離して走り出そうとした穂波の手首を捕まえて
ぐっと引いて抱き寄せる。
「穂波。…やばい、ちょっと…」
『…………』
「…すごい、好き」
『…………』
「…………」
『…わたしも、好き。大好き。』
軽く、深く、長く、短く…
何度も何度もキスをした。
どちらからともなく唇を離して、
もう一度抱きしめる。
『…一緒にいる時間も、一緒にいない時間も、
同じことしてる時も、違うことしてる時も、
研磨くんがどこかに居るってだけでほんとに幸せ』
「…………」
『でも、やっぱこうやって一緒に何をするでもなくても
大好きな場所に一緒にいれると、ちょっとふわふわしちゃう」
「……ん」
『スケボー見守ってくれてありがとう。サーフィンはもうちょっとだけ上手だと思う…笑』
「…ん。」
『海ね、夜に入るのも気持ちいいんだよ。いつか一緒に入ろうね
一緒にいなくてもって本当に思ってるけど、やっぱり一緒にいたいんだな…』
「…ん。大丈夫。これからも、ずっと一緒だし」
『………うん。………うん!』