第35章 fun
ー穂波sideー
京治くんがベンチに下がった。
でも京治くんだもん、
きっとなにか、見つけて戻ってくる。
それにわたし、何気に梟谷の監督さんのファンなのだ。
いや強い弱いではなく、
良いチームの監督さんってみんなすごい魅力をお持ちだと思うんだけど、なんだろうな。
梟谷の監督さんはどっしりしてて、ユーモアがあって、そして選手を信頼してる。
…ってそれ猫又監督もだしって、堂々巡りになっちゃうけど。
だからきっと、ちょっと頭の中がいそがしそうな京治くんのことを
すーっと導いてくれそうな… イメージがある。
それに何より。
光太郎くんの輝きがすごい。
かっこいいとかすごいとか、
そんな言葉で片付けれない気もするけど
でも一周回って戻ってくる感じ。
かっこいい、すごい。そうとしか言えないって。
光太郎くん、かっこよすぎます!!
そしてそして木葉さん!!
さっきのセットアップかっこ良すぎる。
あああ、みんなどんな顔してるんだろう。
きっとさっきの木葉は絶対に絶対に色っぽい顔してた…!
きっと、トスを呼んだ木兎さんにいたずらな顔、みせてた…!
隣のコート。
まだ、烏野始まってない。
ツトムくん、梟谷の写真撮ってるかな…
23-25。
狢坂が1セット目先取。
「やばいな、木兎。持ってかれるわ」
『ね、光太郎くんはスターだよね』
「スターか…」
『治くんと侑くんの持ってく力もすっごかったよ。
どひゃぁ〜ってなった。遊んでるみたいで、観ててわくわくした』
「…そか。それは嬉しいわ。ありがと」
治くんが ふ って笑う。
「なぁ穂波ちゃん」
『…ん?』
「俺は恋愛対象としては見てもらわれへんの?」
『え!なんで、そんなわけないよ』
「なんか、あんなキスしたのにこんな風に普通にされとると凹んでくんねんな、よぉわからんけど」
『…そっか。 治くんは魅力的な男の人だよ』
「…ほんまに?」
『うん、ただわたしには研磨くんがいるから、なんていうか… なかなか…』
研磨くんを超える人なんて現れると思えないわけで…