第35章 fun
「結婚したいんも、浮気相手でもええっちゅうのマジやから」
『…ん』
「忘れんといてや」
『うん』
「濡れた?」
『へ?』
「俺のキスで濡れた?」
『…なんて実直な! お答えできません』
「ははっ その反応はちょっとはええ感じになったってことやんな」
くすっとさっきより大きな笑顔をこぼし、
それから
「次はもっとしたるから、楽しみにしとってな。好きやで、穂波ちゃん」
治くんはわざと息をかけるようにして
耳元で色っぽい声を響かせる
『…ッん』
「その顔。 食いたなるわ。 ほんで、その声。 それなんの声?」
『うん、って言ったの』
「料理上手はなんやったっけ? 俺ら絶対やばいのできるやんな、
無理矢理やのーて、最初はちょっと強引でも最終的には合意でしてまうようなん、しよな」
『…もーなんでいきなりそんなこと言い出すの』
「…妬きもち焼いてんの」
『…』
「ほんまにこの子ええな、マジで結婚したいなって一瞬で思って、
顔みとってもしゃべっとってもどんどん好きになってくし。
そんな子が目ぇキラキラさせて他の男見とるし、
胸いっぱいにして思っとるんわかるし、それやのに彼氏はそんなん気にしてへんし。
俺雑魚やん。俺しょぼいやん。ってなって、意地悪したなる」
『…』
「…まぁ、ええわ。ツムにも代わってやらな後からうっさいで代わる」
『…治くん』
「ん?」
『治くんのお店絶対行きたいからさ』
「おん」
『連絡先交換しよう』
「マジで? ええよ、交換したる」
『うん』
お互いの携帯を取り出してLINEの交換を終えたとこで
「ほんなら、な。また話そな。あ、せや。サーフィンとかすんの?」
『あ、うん。サーフィンする』
「西の方にはけーへんの?」
『三重とか和歌山なら、たまに行ってたけど。最近はめっきり』
「そか」
『でもね、すきなとこいっぱいあるし。北さんにも会いたいから、きっと行く。そしたら遊ぼう』
「おーデートしよな。約束やで」
『うん、明石焼きとか、美味しいお店いっぱい食べに連れてってね』
「まかしとき。ほんなら、またな穂波ちゃん。愛してんで」
『あっ なっ…』
愛してるなんて 男の子から言われ慣れてない…!
顔が熱くなってく