第35章 fun
ー治sideー
なんなんマジで、ちょいちょい挟んでくるやん。
梟谷の木兎半端ない。おもろい。
結局またすこし話題を木兎に持ってかれて、
それから試合序盤からなんとなしに思てたことを聞いてみる。
「狢坂のセッター気になるん?」
『えっ?』
「なんか目が違うんやて、顔っていうか…」
『いや、特に特別意識はしてなかった』
「無意識なん。ホンモノやん」
2年の臼利やったっけ。
こうしてみとるとプレーの感じが研磨くんみたいなとこもあるよな。
頭使っていろいろやってんねな。
ねちっこいとも違て、いろいろ… やらしい感じな。
ほんでも感じは全然ちゃうかって、
音駒の11番とか烏野の翔陽くんみたいな
あと、ほんまにちょんぼしだけ侑みたいな、天真爛漫な感じがある。
いや11番とか翔陽くんみたいな素直そうな子と
人でなしの侑をちょんぼしでも一緒にしたらあかんわな。やめやめ。
ほんでも穂波ちゃんにとってめっちゃ魅力的な感じちゃうんかな、って思う。
…なんとなくやけど。
「 ! 」
また泣いとる。
木兎のブロックフォローから、超インナークロスに泣いたんか?
14-18。
まだ狢坂にリードは許しとるけど、
確かに今のはかっこよかったな。
「空気変わったな、木兎の」
『治くんもそう思う?わたしもそう思った』
「それで泣いたん?」
『結果的にはそういうことだと思う』
なんそれ。
知らんうちに泣いとったってこと?
まぁそんなもんか。
「手、繋いでもええ?」
『…ん?』
「なんか、ええやん。一緒に見てんで、って。俺ここにおんで、ってできるやん」
『………』
「…ええわ、聞かんかったことにして」
『…ん』
なんなんこれ、なんでこんな切羽詰まってくんの。
もっと余裕持って、
ほんま始めは浮気相手でええから、いつか結婚しよな。って感じのつもりやったのに。
いややわ、兵庫帰るん、いややわ。
あかん、なんでこんな浸かってまうん。
沼や、これ沼。