第35章 fun
ー侑sideー
21-25。
烏野の勝ち。
いやマジでめっちゃ泣いてんねんけど。
いくら静かに泣くいうてもな、
鼻水垂れてズビズビ言っとるし、
ひっくひっくなっとるし、
もう静かとは言われへん状況やな。
試合終わって、お互い挨拶も終わって、
もうコート出ようとしとるとこやけど、
まだまだ涙出てくるんやな。
隣の応援席から歓声が聞こえて、
穂波ちゃんはそっちのコートをチラと見ると、
うわぁーんと言ってまた泣き出した。
梟谷学園にも知り合いがおるんやろか。まぁ、東京やしな。
「むっちゃ泣くやん」
「水飲んどきや、まだあるん?水筒ん中」
『…ん ある』
「抱きしめたろか」
「ええな、抱きしめたろ」
座ったまま、治と俺とで穂波ちゃん挟んで抱きしめる。
「やりずらいわ」
「…せやな」
「穂波ちゃん、いっぺん立ちや」
ぐすんぐすんひっくひっく言いながら
子供みたいにぐっちゃぐちゃな顔で言われるままに立ち上がる
「仕切り直しやな」
「ほんならいくで」
もっぺん治と俺とで穂波ちゃん挟んで抱きしめる。
治が先に腰に手回しよったで、俺はちょい上の方。
腰ぎゅーしたかったけど、ここはここで下乳あたるでええ。
別に下心で抱きしめとるんちゃうけどな、
でも勝手についてくんねん。
普通に17歳の男やし、好きな子やし、しかも身体エロいし。
髪の毛の匂い嗅いだり、
頭にそっとキスしたり…してまうし。
…治にまたなんか言われるかしらん まーええわ
…って、治、落ち着いてきた穂波ちゃんの涙、
目尻から救って舐めたかと思ったら、
瞼にチュってキスしとるやないかい!
俺もほっぺにそっとキスしたる。
ついでに涙も直接舐めたろ
『ひぁッ… …んっ』
だぁぁぁぁーーーー!!!
何やねんその溢れてまった感100%の色っぽい声は!
あかんて!あかん!
「お前らそんくらいにしときや。
今日も会場にきとるツインズファンに刺殺されてしまうよ」