第35章 fun
球彦くんとリエーフくんが交代。
球彦くんの天井サーブ。
研磨くんは春高前、
それから大会が始まってからも
あまりバレーのことを話そうとはしない。
わざとそうしてるのか、
自然とそうなっているのかわからないけど、
別に先に聞いておきたいとかもないし、
聞いたところでどうなるかもわからないことだし、
こちらから聞き出そうとかも思わなかった。
でも、球彦くんの天井サーブっていう
切り札?っていうか意外性のあるカードがあることは
嬉しそうに話してくれたのでその時のわくわく顔含めよーく覚えてる。
大地さんがレシーブ、
影山くんが旭さんにトスをあげる。
クロさんの手に当たって、ブロックアウト…
かと思ったら、福永くん…!
ほんっと、福永くんって… かっこいい…!
福永くんのスーパーレシーブ?フォロー?
ネット側にボールが返る。
研磨くんが飛んで、
右手を目一杯上げてクロさんの打点にぽんっと置くようにボールに触れる。
ドンピシャでクロさんは打ったけど、次は夕くんのレシーブ。
翔陽くんにトスが上がる。
ブロックは山本くん、クロさん、犬岡くんの3枚。
翔陽くんはふわっとフェイントをいれるかとおもった。
そして研磨くんはそれを読んでた
前に向かう研磨くんの動きを見てか、
翔陽くんはぽーんとロングプッシュ。
研磨くんはまるで蝶々や小鳥を仕留めようとしてる猫のように
右手を上げて飛んだけど、ボールは繋がらなかった。
17-19。
ぺちゃりと研磨くんがコートに倒れ込む。
…大丈夫かな
クロさんが研磨くんの方に近づいていく。
そして…
「ン"ア"ア"ッッシ!!!」
ネット際にたっている翔陽くんのガッツポーズと共に響き渡る大きな声。
研磨くんのそばにいるクロさんは腰に手を当て天井を見上げ笑った。
ここからじゃな何もわかんないよ
わかんないけど、
多分、わたしのこの涙はきっと、
検討外れなものじゃない。
だめだ、今日一番の号泣。
洪水レベルだ。スカートまでびしゃびしゃ。
プリーツが変なんになっちゃう。