第35章 fun
ー穂波sideー
ハグってすごいなぁ…
2人に同時にぎゅーってされるのとか、いつぶりだろ。
悲しいわけでも
悔しいわけでもない
嬉しいとも違う
ただただ心が震えて止まらなかった涙が
すーと落ち着いてきた
そんなところで、
侑くんがペロっと頬を舐め、
治くんの手がセーラーの下、
インナーの下も捲って直接お腹に触れてきた。
もう片方の治くんの手はあろうことかスカートの下に侵入してお尻をむにっとする。
びっくりして変な声が出たところで
「お前らそんくらいにしときや。
今日も会場にきとるツインズファンに刺殺されてしまうよ」
倫太郎の声。
「…せやな、やめんで治」
そっと身体を少し離す侑くんに対し、
「いややもう止められへんし止まりたない。食いたいわ」
意外というか、あぁ、でも確かに…というか、
治くんの方が食い下がる。
治くんって穏やかだし、わりあい淡々としてるけど、
好き嫌い激しいって言ってただけあって、
ほんとに手放せないとこにはすごい執着がありそう。
その点侑くんは…
って!冷静に分析してる場合じゃなーい!
『おさっ………』
開いた口に侵入してきたのは暖かくて柔らかくて、
強引だけど巧みに動き回る舌。
口全部食べられちゃうんじゃないかってくらいかぷりと吸いつきながら
美味しいものを食べるかのようにわたしの口内を這い回る。
『…んはぁッ………』
長いことされたわけじゃないけど
急な深い口付けに息が上がる さっきまで泣いてたし
「おまっ サム! ふざけんなや!」
「…うっさいわ、ツム」
「あかん!あかんて!そんなら俺も!」
「侑、何言うてんねや。
治、どこ触ってんねん。手、離し。
角名もなにカメラ構えてみとんねん。止めぇや」
3人の空気がびしぃと凍りつく。
この心地の良い声の主はもちろん、信介さん。