第35章 fun
2セット目が始まった。
福永くんが翔陽くんを狙ってサーブを打って、
翔陽くんはそれをレシーブした流れで横に走って飛んだ!
わぁ〜、やっぱり華やかだなぁ、ほんとに!
この2人のセットアップ。
7-9。
烏野がリード。
さっき入った音駒の一点は、
翔陽くんのタッチネットによるものだった。
山本くんのスパイクを速く高く飛んで止めた、と思ったんだんだけど。
そして、そこから遠目にだけど…
研磨くんは何か新しいことを思いついたような
思いつきそうなようなわからないけど、
とにかく翔陽くんの攻略法をさっきより一層考えてるように思う。
今の全力のジャンプが、
きっと研磨くんに何かヒントを与えたんだろう。
………。
「………」
『………』
烏野、2回目のT.O.
治「いや、怖いな」
侑「…うん、怖いで」
角名「北さんとはまた別もんの怖さやな」
治「敵に回したない怖さやな」
侑「…せやな、北さんは味方におると怖いやつやんな」
………。
侑くんはハッとしたように
ばばっと後各方位を振り返る。
そして、
侑「…おらんかった」
って安堵の声をもらす。
『北さんって信介さん?怖いの?』
侑「怖いなんてもんちゃうで、正論パンチやばいんやて。おっかないんやて」
『…正論パンチ』
なんとなーく、
侑くんたちにとっての信介さんの怖さが想像できる気がした。
「…いやでもこれあかんやん」
「翔陽くん窮屈やろなートビオくんも。このジワジワ感怖いな」
「あれやん、もう参謀やん。…こわっ
完全にこれあれやろ、穂波ちゃんの彼の目論見やろ」
『………』
「そうやんな、サーブ打つときハンドサイン出しとるもんな。完全に位置の指定しとるよな」
『…うん、まぁ確かに怖いよね』
「ほら怖いんやん!」
『でも、それがとびきり色っぽくって… んんん……』
試合中の研磨くんの
汗とか髪の毛の柔らかさとか息遣いとか想像してしまう。
そして何よりあの、目。
捉えられたら逃げることのできない、あの、目。
鼻の奥から何やら暖かいものが降りてくる