第35章 fun
「穂波ちゃんの彼氏いうたらもっと真っ直ぐなやつかと思ったわ」
倫太郎が言う。
真っ直ぐ… そっか倫太郎はリエーフくんの背番号言ってたっけな。
侑「…やんな。相当な曲者やん」
治「お前に言われたないやろな」
『…いま1セット見ただけでわかったの? その…』
侑「わかんで、そんなん。…穂波ちゃんわからんのん?騙されてんのとちゃう?」
『…笑 騙されてないです』
治「26点目のは分かったん? 頭に ? 浮かんどったけど」
『…あぁ、わからなかった』
治「片手あげてツーで押し込む見せかけて、
もう片方の手もあげてな、トスあげようとすんねん。
ほんで相手のブロックのオーバネット誘ってんで」
『へぇ』
治「侑も昨日しよったけどな」
『そっか、全然わからないことの方が多くて…
さっきの最後の得点になったのはどういうことだった?
研磨く… 彼がわざとあの位置に返球したのはわかるんだけど
どうしてああなったのかはわかんない』
侑「飛雄くんはネット側に移動するやろ、
その動線で尚且つリベロの逆をついたとこに返した。
よしチャンスボールきたーいうて
烏野全員攻撃するために助走距離確保しよーって後ろに下がるやん、
その烏野の性質みたいなんを、上手いこと利用しとる」
『なるほど…』
侑「髪もあんなやし、あの落ち着きっぷりとか、怖い人なんちゃうん?」
『怖い人じゃない、全然、そんなんじゃない 笑』
バレー部はもちろん
音駒の生徒もそういう風には研磨くんに印象を抱いてないだろうし…
烏野とか他校の知り合いもやっぱそういう感じとは違うっていうか。
いや、怖いってのはある意味そうだね、誰より怖いかもしれないけど…
怖い人じゃないの?って心配は初めてされたなぁ…
角名「…操作されそうやん」
侑「ほんまやで、なんか穂波ちゃん心配になってきたわ。
盗聴器とかついてへんよな!?」
治「そんなわけあるかいや。穂波ちゃんはそんなアホとちゃうわ」
侑「いや、穂波ちゃんがアホかどうかとかちゃうやん。5番の彼、むっちゃ頭いいやん絶対」
治「頭ええからって盗聴器つけるかいや。お前ら失礼やで」
…すごい、研磨くんに関して憶測が飛び交ってる。