第5章 夏
海沿いを走ってると、
スケボーショップがあったので降りてスポットを聞きにいった。
お店の裏に自作の練習場あるから使っていいよって言ってもらって滑ることにした。
「…穂波もするの?」
サンダルからスニーカーに履き替えていると、研磨くんに聞かれた。
『下手くそだけど、ちょっとだけ。主旨はカズくんが滑るのを見ること 笑』
頭のなかでは
研磨くんがスケボーしてたらなんかめちゃかっこいいだろうなって妄想してる…
けどそれは口にしない。…なんとなくだけど
お店の裏にはパイプやレールにステアもあって
カズくんの技がいっぱい見れそうで嬉しい。
早速見ようとクロさんたちのとこに行くと
「…ちょっと、穂波も滑ろうよ。…誘って来たの穂波でしょ」
カズくんが呼びにくる。
セリフと間合いが、まるで研磨くんのようで笑ってしまう。
クロ「…やべ、穂波ちゃんに話してるの見ると余計にちっちゃい研磨感が増す」
ほんと、それ。けどカズくんはカズくん。
遊児も滑れるのを知ってるから
遊児に声をかけてとりあえず平地で簡単なことをしながら
カズくんが滑り出すのを待つ。
「穂波久々なの?」
『うん、ちょっとあいたかも』
「なんか教える?」
『…ううん、今日はいいよ。みんないるし。
わたしここらでちまちましてるから、カズくんパイプで滑ってきて!レールもあるし!』
「…ん。」
小三の男の子との会話には思えない、落ち着いたトーン。
カズくんがパイプを滑り出して、勢いが出てきたとこでみんなのとこに戻る。
夜久「すげぇ」
クロ「……あの落ち着きの理由がちょっと分かるな」
研磨「……………」
ツトムくんは近づいてカメラを構えてる。
いい写真撮れるといいな。
遊児はカズくんのスキルにテンションが上がっちゃってカズくんのとこに行った。
遊児も身体能力高いから、危なっかしくなはいけど、怪我はしないでね。と思う。
それからカズくんはステアとレールで何度かトリックをきめて
わたしのところにやってきた。
「…ちょっと、穂波。もっと練習して一緒にパークデートできるようになってよ」
研磨「!」
クロ「カズくんてば、意外と大胆」