第34章 knit
ー古森sideー
「お。なにこれ」
ワックスペーパーでできた小袋に黄色と緑の麻紐でリボンがしてある。
『これね、きな粉飴。歯にくっつくけど、古森くんにはなにがいいかなって思って』
「…ん?」
『梅干し渡してもなぁ…って。
それで古森くんのこと考えてたら、古森くんの髪の毛きな粉色だなって』
「…笑 初めて言われた」
『ごめんね、食い意地張ってて 笑 それで、きな粉飴。
ほら、きな粉はプロテインだし。よければ、もらって?』
「え!そんなのもらうに決まってる!ありがとう、嬉しい!」
俺のこと考えてたら… って、
穂波ちゃんにはそんな気なくても嬉しくなるし。
そんなの受け取るに決まってる。
「作ってくれたの?」
『うん。作るというほどのものではないけど… でも』
「…でも」
『お腹痛くはならないと思う』
「あはは、それ気にしすぎ。俺そんなやわじゃねーし」
『…うん、そうなんだけどなんか、さ』
「…よし、じゃあ俺もみんなのとこ戻るわ。
よかったー声かけて。差し入れもらっちゃった〜」
『ふふ じゃあ、これ、聖臣くんにお願いします』
受け取りそびれてた聖臣への紙袋を差し出してくる。
「うん!了解! って、何個か入ってるの?
思ったより重みあるね。これ持ってずっと動いてたの?」
『…うん、なんかさ、ついね。我が子自慢というか…』
「…我が子?」
『梅干しってね、かわいいの。
だから、梅干し好きな聖臣くんにって思うと止まらなくって』
「…笑」
『でもね、昨日は瓶に入れてたんだけど
瓶はやっぱ邪魔かなって思ってスタッシャーに入れ替えた』
「…でも瓶も入ってるっぽいけど」
『…うう』
「…笑」
『梅シロップと梅肉エキスも献上したくなって、止められなくて…』
「献上って…笑 穂波ちゃんの梅愛は俺がよく受け止めた!
中に説明とか入ってるんだよね?」
『うん、どれが何か、製造年月日、材料、産地、記しました。
受け取り人は聖臣くんなんで』
「あはは!了解。ありがとね、喜ぶわ。
じゃあ、またあした、見かけたら声かけてねー!」
さくっと立ち去るわけだけど…
くぅぅぅぅーかわいい!
やっぱ可愛いし面白いなぁ穂波ちゃん。
彼氏が羨ましい!