第34章 knit
ー研磨sideー
ホテルの部屋でゲームしてたら
穂波から電話が来た。
ただ声が聞きたくて、電話してってメールしたから。
穂波の声… すき
穂波はなにを聞いてくるでもなく、
でも電話だし無言でいてもしょうがないからかな、
今日食べたものとか、北さんの話とかその孫の話とか。
そういうのをいつものように落ち着いた声でぽつぽつと話してて、
それをおれはうん、うん ってただ聞いてた。
明日のこと。
烏野戦のこと。
今日この後、烏野の試合の録画を観てみんなと話す。
穂波はどうするの、とか聞いてこない。
今日の試合がどうだった?とかも。
お疲れさま、おめでとう、かっこよかった、
明日楽しみにしてる。がんばってね。
そのくらいだ。
それが心地いい。
バレーに関すること、話したいな、と思わなくもないけど、
今じゃなくていいかなとか、思う。
別に、試合が全部終わってからまたどっかで話せばいい。
…昨日もだけど、今日の稲荷崎戦観て思った。
翔陽はやっぱりおもしろい。
どうやったら、翔陽の動きを止めれるかな。
止めれてしまったら、悲しいけどでも 止めてみたい。
飛ばない翔陽はおもしろくないけど、
翔陽の羽根を捥いでみたい。
そのために、おれなりにいろいろ準備はしてきたつもり。
負けたら即、ゲームオーバーの試合。
やっと、明日。