第34章 knit
ー穂波sideー
あああ、完璧に補充された感。
烏野の試合が終わったらすぐに音駒のみんなは撤収してしまったみたいで…
研磨くんに会えずにちょっとしょんぼりではあったけど、
満タン補充された。 北さんと信介さん。 素敵すぎる。
【もう会場出ることになったから、また落ち着いたら連絡して】
研磨くんからのメールをもう一度読み直して、電話…
「おーい穂波ちゃん!」
振り返ると古森くん。
『わぁ、古森くん。お疲れさまー!』
「もう帰るの?」
『あ、うん、帰ろうかなぁと』
「そっか、俺らの試合観た?」
『はっっ 観てない…梟谷も観てない…』
「あはは!いいけどね、別に。会えたし」
『あ、そうだこれ、聖臣くんに持ってきたんだけど… お願いしてもいいかなぁ』
「…んーちょっと複雑だけどいいよ。梅干しでしょ?」
『うん、梅干しなら大会中に食べてお腹壊すってこともないし』
「確かに」
『…古森くんってさ』
「ん?」
『大きいよね』
「え?別に大きくはないよ。180cm」
『あ、うん、そっか。そうだね』
「………」
『………』
「…なに!? そんないきなり無言で見上げられると恥ずかしいんだけど」
『あ、ごめん』
確かに、似てるかもって思ってくる。
前の彼氏に。
前にも思ったけど、でも前よりもっと思う。
だからどうとかじゃないんだけど、こういうのってなんだろ。
パズルともちょっと違って… なんだろな…
迷路? 紐解き? 知恵の輪? ルービックキューブ… ナンクロ…
「いやいやいや、ごめんとか言いながら、すっごい見てるし 笑」
『…あ、ごめん』
「俺の顔がどうかした?」
『ううん、顔っていうより、目?目の奥?あと、頭の周りにぱやぱやでてるものとか』
「…?」
『古森元也くんという人をみていました』
「あはは、何それ意味わかんねー」
『…明日も、試合?』
「うん!明日も試合。観れたら観てねー」
『うん、あ、これ、こっちね、古森くんに』