第34章 knit
ー北sideー
『あっ あかんことないです!』
かわええ子やな。
『…ってなんでわたしエセ関西弁を』
「…ふ 笑 ええんちゃう?ばっちしやったで」
『…笑 ありがとう』
「穂波ちゃんは静かやな」
『えっ いや、そんなことないですよ、もう騒がしい人間です』
「いんや、そんなことあらへん。 静かや。
喋っとっても、笑っとっても、心の底んとこがしーんとしとる。ええな」
『…いや、だいぶわたわたわたー!ってするんですよ。
今、信介さんの隣にいさせてもらってるから静かになるんです。
そう、まさに、心の底のところがしーんって。凪いでます』
「…凪いでる」
『北さんといても、というか北さんなんてもう、思い出すだけで凪ぎます』
…おもろいこと言うてる。
けど、なんでか解るって思うわ。
『毎日いろんなこと、当たり前に丁寧に、されてるんだろうなって』
「………」
『素敵な方ですよね』
「…まぁ、せやな。身内が言うんもおかしいけど」
『好きです、北さん。ほんとに。会えて嬉しい』
「………。 ばあちゃんも、同じようなことおもてると思うよ」
『いやもうそんな、恐れ多い…』
「…笑 なんなんそれ、ばあちゃんは神さまちゃうで」
『あ!それはもう、ちゃんとわかってます!神さまだなんて。
人間さまだからこその尊さというか、あるじゃないですか』
「…笑 もうええわ、ばあちゃんの話は。よぉわかった。
それに俺も好きやでな、これでもう話さんでも通じ合うてるやろ?」
『…そうですね。言葉は必要ないか』
「…ほんで穂波ちゃんはなんか運動してるん?姿勢がええよな、綺麗や」
『…んーと、姿勢に関わるかはわからないけど、ダンスと横乗り系のスポーツを』
「横乗り系てなに?」
『サーフィン、スケボー、スノボ かな』
「へぇ、そうなん。 あれか、体幹が鍛えられるんかな」
『うん、そうかも。体幹は、大事かも』
それからばあちゃんが帰ってくるまで、
稲荷崎のバレーの話とか、侑と東京で会うたこととか、
俺の進路のこととかいろいろ話したり聞いたりしてくれて、
ほっこり、いうんかな。ほのぼのした時間を過ごした。
この子、うちの縁側におってほしいわ。