第34章 knit
ー穂波sideー
稲荷崎の応援団のところに、
北さんを見つけて。
ふにゃりと通路のとこにしゃがみ込む。
…何してるんだろ、わたし。
「穂波ちゃん、応援終わったん?」
『あ、うん。終わったの』
「そんなとこに座るんでええの?」
『うん、いいの。北さんの隣にいたい』
…なんの告白してるんだろ。
「かいらしいねぇ、お尻冷やさんようにね」
『…うん、ありがとう』
音駒の試合に夢中で全然気づかなかったけど、応援がすごい。
稲荷崎の応援もだし、烏野も!冴子さんたちがかっこいい応援してる。
烏野が1セット目先取したみたい。
そして、今は14-20。 稲荷崎がリードしてる。
そして、今からサーブをうつのは、影山くん。
稲荷崎のリベロの人がレシーブしたボールがそのまま烏野コートに入って…
それをそのまま影山くんがセットアップ…
そしてその先には翔陽くん…
あああ、すごい。やっぱりすごこの2人… って、ええっ
あれって侑くん?ディグしたの。
しかもそのあとトスあげたのって治くん?
2人ともコートにいる!
あ、そっか、試合観ててって言うんだもん、コート立つよね。
侑くんはユース合宿来てたんだし…
…そうだよね、ここは全国大会。
音駒の試合を観戦し終わって気が抜けていた。
しかも今日は2日目で、昨日より一層、試合の白熱ぶりは増すはずなんだ。
・
・
・
治くんのサーブは遠くまで飛んでいってビィィィンって。
それから烏野タッチネットかな?稲荷崎得点。
応援席もコートも稲荷崎は一際賑やかだ。
…稲荷崎の4番の人と交代で1番の人が入ってきた。
なんだか、空気が締まった気がする。気のせいかな。
「あれがね、信ちゃん」
『あ、信介さん。そっか、主将さんなんだ、3年生?』
「うん、そうやよ〜」
そっかぁ、信介さん。
兵庫からおばあちゃん、セーター編んで応援に来てくれて。
編んだセーター、見てもらったっていってたな。
かっこいいって言ってくれたって…
きゅん。
隣にいる北さんにも、
北さんとお話ししてる信介さんのこと勝手に想像しても、きゅん。
優しい人なんだろうなぁ…